AIを用いたタンパク質の網羅的解析技術「AIプロテオミクス」サービスを提供する東京科学大学(旧東京工業大学)発ベンチャー称号認定企業 aiwell株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:馬渕 浩幸、以下「aiwell」)は、住友商事北海道株式会社(以下、住友商事北海道)の協力を得て、北海道北部、北海道南部、東北日本海側3つの養殖場で養殖されたホタテガイの貝柱からタンパク質解析を行いました。結果、養殖場によってタンパク質構成に傾向の違いがあり、産地間で相関性の強弱があることが判明しました。今後、その傾向把握の質を高め、ホタテガイをはじめとした水産物の養殖製品に関する安定供給と品質向上に貢献していきます。
■産地間のデータ相関について
各産地の2個体で個体差の少ないスポットを抽出。そのデータセットで産地間比較を実施。結果、「北海道南部:北海道北部」と「北海道北部:東北日本海側」の相関が低いことが判明。すなわち、タンパク質組成において北海道南部と東北日本海側の相関が高く、これらに対して北海道北部は低いため、北海道南部および東北日本海側グループと、北海道北部では品質特性に違いがあることが示唆された。

■解析の概要
【テーマ】
養殖ホタテガイの産地別タンパク質解析
【試験概要とその結果】
北海道北部、北海道南部、東北日本海側の3産地の養殖ホタテガイの
プロテオミクス解析
【目的】
プロテオミクス画像の取得方法を確立し、産地による差異が検出できるか、予備検証を
行った。
【材料・方法】
(被験サンプル)
北海道北部、北海道南部、東北日本海側の養殖場を産地とするホタテガイの
貝柱(各2個)。
(方法)
各産地から凍結状態で輸送されたサンプルより、各2個体を無作為に選び、
貝柱中央部分のタンパク質を抽出し、2次元電気泳動で分析。
【結果サマリー】
貝柱中心部のタンパク質で良好なプロテオミクス画像が取得できた。
画像の解析により、産地間でタンパク質構成の差異が示唆された。
■ 今後の取り組み予定
この取り組みを起点とし、住友商事北海道とaiwellは以下の取り組みを推進していきます。
①水産物の「多様な検体をベースとしたタンパク質解析」の実施
貝柱のように血液にこだわらない検体をベースとした水産物のタンパク質解析を可能とすることで、より多くの魚介類、藻類におけるタンパク質の構造や状態を可視化する。
②タンパク質の相関性を起点に「より質の高い養殖水産製品の供給環境整備」に貢献
養殖水産品において、産地やブランド毎のタンパク質を解析することで、うまみ・味の
比較や、養殖環境の違いを解明し、より質の高い養殖水産製品が安定して供給できる
環境整備に貢献します。
これにより水産庁が掲げる「養殖業成長産業化総合戦略」における「養殖業の成長産業化の進展」の一助となることを目指します。
https://www.jfa.maff.go.jp/j/saibai/yousyoku/seityou_senryaku.html