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aiwell 社外取締役

巻 誠一郎 SEIICHIRO MAKI

駒澤大学を卒業後、2003 年にジェフ千葉に入団
2005 年にジーコ監督率いる日本代表に選出
2006 年ドイツ W 杯出場
2010 年ロシア、2011 年中国への移籍
2011 年東京 V に移籍し J リーグ復帰
2013 年ロアッソ熊本に移籍し現在現役

僕は、事業家になりたかったわけじゃない

僕は、そもそも事業家になろうと思ったことはないんです。今でも「自分は事業家だ」という意識はありません。現役中には、セカンドキャリアのことも考えて、いくつかビジネスにチャレンジをした経験があります。飲食もやりましたし、その他もいくつか。でも、全部失敗しました。原因を自己分析すると、自分は「お金儲けに興味がない」ということに気づいた。 じゃあ、自分は何に対してエネルギーを注げるのかなと振り返ると、「誰かの役に立ちたい」という思いがベースにある時が、最も自分のエネルギーが集中できることに気づいた。そこからは「誰かのためになる事」をベースにやろうと心に決めました。その延長線上にビジネスにつながれば良いと。今でも、この思いから外れることには何一つ手をつけていません。

客観的に自身を捉える力がプロサッカー選手としての道を拓いた

スポーツは子供の頃から大好きでした。最初に始めたのは水泳です。両親の教えで3歳から始めました。海や川に落ちても溺れないように、自分の身は自分で守れというところからスタート。そこから、父自身がやっていたアイスホッケー、そのあとは野球を。ただ野球が盛んな地域ではなかったので、対戦相手がいなくて、小学校4年生の時に試合が1試合もなかった。 それでサッカーをやろうと。サッカーは盛んな地域だったので、毎週のように練習試合や大会がありました。小さな小学校でしたから、僕が入ろうとした時、メンバーが7人しかいなかったんです。僕が友達3人引き入れて入部して、ちょうど11人。「これで試合ができるね」とサッカーを始めたのがきっかけですね。 県大会とか大会に出てもほんと、10点とか入れられてボコボコに負けるようなチームでした。 でも、素晴らしい指導者に恵まれました。偶然にも僕の小学校にいた先生が熊本県の選抜チームの指導者だったんです。もともと運動能力は高かったこともあり、サッカーを始めて1ヶ月くらいで、セレクション受けました。 小学校、中学校、高校と地元の部活動でサッカーを続けて、大学へ。高校卒業後にプロになるかというお誘いもありましたが、先々のことを考えて断りました。 大学4年間で基礎体力付けて、もっとサッカーを勉強してからプロになろうと思って、駒澤大学に入りました。だからプロになったのは大学卒業後です。 割と僕、自分を過大評価も、過小評価もしないのがモットーにあって。だから、今振り返ると、自分を客観的に見る事ができていたんじゃないかなと思っています。

「誰も僕を知らない」環境が、ビジネスへの興味を生んだ

W杯に出た翌年に、フットサル場を立ち上げました。最初立ち上げた時は、地域に還元したいと考えてスクールを作り、400名くらい生徒がいた時期もありましたが、少子化の波もあり、なかなか採算が合わず、長い間赤字でした。 僕が熊本に帰ってきて、経営改革を一つずつ行ない、今年に入ってから黒字化しました。 セカンドキャリアで上手くいく人は、物事を論理的に捉えることができる人だと思います。僕は最初、人に任せるばかりで失敗しました。ビジネス成功の第一歩は「知ること」だと今は思います。自分の中にまずは知識を入れること、そこから色んな方向につながっていくなと。スポーツ選手は、問題提起、問題解決能力が非常に長けています。ですが、セカンドキャリアとなると、それまで培ってきた経験を上手く置き換えられてないのではと思います。 ビジネスに興味を持ったのは、現役の時に、ロシアと中国に行き、誰も自分を知らない環境へ飛び込んだ経験がきっかけです。特に中国の経済成長のスピードや、なんでもビジネスへ変換する中国人のパワーには驚くばかりでした。

地元の子供たちに向けたサッカースクール事業

今、一番時間を割いているのは、地元の子供達へのサッカースクール事業です。4歳から中学生まで、200名くらいの生徒がいます。 最初からチームは持たないと決めていました。なぜかというと、チームにしてしまうと一定の子供達にしか自分たちのスキルを伝えられないからです。スクールという形にすれば、スキル問わず「上手くなりたい」という向上心を持った子供たちに来てもらうことができます。 熊本県では、学校の指導者である先生の負担軽減の観点から小学校の部活動が今年からなくなりました。近くの小学校の校長から直接頼まれて、スクールとは別に、小学校3年生から6年生まで約80人の生徒を社会体育の一環として指導しています。 施設としては、3面の屋外施設と、屋内フットサール専用コートを2面運営しています。

障害児向け放課後デイサービスで独自のプログラムを構築

障害を持った子供たちの放課後デイサービスを現在3店舗、5月に4店舗目がオープンします。障害を持った子供たちを、学校の授業の後にお預かりする施設です。 障害がある子たちの放課後の見守り、という観点ではなく、教育と運動に特化したプログラムを取り入れるために、指導員を全て学校の先生に変えました。 2店舗は学習メインの放課後デイサービスです。学習障害、自閉症などの子供達は勉強が遅れがちなので、学校の先生が教育のプログラムを構築して、しっかり宿題をやる。プラスアルファで彼らに合わせた教育のカリキュラムを作る。 あと2店舗はフットサル場の施設内にあります。体を動かすことで子供たちの脳や身体機能向上と、問題解決能力、仲間と共存する力を養うための運動プログラムを作っています。病院とも提携し、体の機能改善・向上にアプローチしています。

仕組みを構築し、全国へ。 ベースとなる思いは「世の中を良くしたい」

これまでの取り組みは、子供たちのためのプログラムとして形となり、全国からニーズがあります。ベースの考えにあるのはやはり、「多くの子供達に喜んで欲しい。世の中を良くしたい。」自分の施設の子供たちだけが良くなることがゴールではなく、その仕組みを世の中に広げることが重要と考えています。 また、スポーツ施設の利用率が全国的に低下しています。人口に比例するので田舎は特に顕著です。そこをどう解決するかと考えた時、放課後デイサービスと掛け合わせることが理にかなっていると考え、今の形に至りました。

就労支援から、障害者が自立して生きる仕組みづくりへ

今ではこれらのサービスから発展して、障害を持った方の就労支援もおこなっています。 この4月に県からの申請が降り、今後は農福連携を行なっていきます。 熊本は農業が盛んです。宇城市は特にトマトが盛んなのですが、農家の平均が71歳。次の担い手がいない、農業を潰さなきゃいけないという方が大勢いらっしゃる。 人手をしっかり確保することが大きな目的の一つですが、障害のある方をずっと学んでいくと、農業との相性がいいんですよ。土をいじること自体もそうですが、自分のペースで進めることができるという点も大きいようです。 今後は、障害を持った方が自立して農業をできる仕組みづくりに力を入れていきます。障害者が苦手とする部分をサポートして、生産性を高める農業のやり方を指導する。将来的には自分で畑を持って、自分で生産性を上げていく。これらの仕組みづくりのためにも、今は大きなトマトの農家さんに提携していただいています。

熊本の復興から子供たちの教育プログラムまで広がる活動の幅

復興支援の際にボランティア団体を立ち上げ、物資を避難所に送る活動を行ないました。 行政がアプローチできていない、困っている人々のために、避難所を回って物資を流すということを最優先で取り組みました。物資をトータルで200〜300トン位、運んだんですかね。その後、物資支援がひと段落してからは復興支援に関わるイベントや、サッカー大会を運営したり、教育プログラムの一環で、Jリーグのクラブ試合がない時に選手たちを学校に集めて、選手と子供達が一緒に給食を食べたり、休み時間に一緒に遊んだり、サッカーを教えたりする活動も始めました。 子供達に本物を見せることはすごく重要だなと再確認しました。アスリートが子供達に直接話すことで、同じ言葉でも捉え方が変わるのだなと。学校の先生達がアプローチできない部分に、アスリートだったらアプローチできるんですよ。 英語の授業にネイティブの先生がいるように、体育も教える側の特殊なスキルが必要ですよね。アスリートが貢献できる幅も広がり、子供達の夢のサポートも出来る。これを熊本でやろうとNPO法人を立ち上げました。

aiwell参画のきっかけとなった「IT×健康管理」のひらめき

代表の馬渕さんとの出会いです。すでにその頃、福祉の仕事を開始していて、日誌をつけたり、細かな確認作業が必要です。その作業を一元化できないかと考えた時に、子供たちのバイタルチェックをITを活用して一元化できるのではと発想して馬渕さんに話をしたんです。馬渕さんアスリートのマネジメント事業を長く手がけていますが、サッカー選手でそういう発想を持つ人を珍しく思ったと思います。そこから意気投合、今は社外取締役として活動しています。 今後、高齢化の社会がどんどん進んでいき、医療費などの負担がどんどん増えていく。 その中で、僕自身も復興支援で色んな地域の行政の方々と携わる機会がすごく多くて。行政の方々と色んなディスカッションする事が多いですが、地方は未病へのアプローチが進んでいないと感じています。予算がある大きな市ならともかく、予算の限られた地域はできることが本当に限られています。aiwellが実用化を目指している技術により、未病にアプローチでき,自分自身で健康改善ができるという仕組みは素晴らしいと感じています。

微量採血のその先へ。新しい健康管理サービスとは

微量採血をするというだけではなく、その先が大事なんじゃないかと思います。他のサービスと絡めて展開することが、あらゆる人の健康改善のためには重要なんじゃないかなと感じています。 僕は微量採血による未病促進を世に広めるには、医療費削減という観点もありますが、それだけでなくスポーツという切り口が重要だと考えています。 サッカー界では、近年一人の選手の試合数が増えてきています。多い選手だと60から70試合、3日に1度のペースで試合をしている選手もいます。すでにチームで提携している病院で血液検査を行なっている場合もありますが、予算のあるチームに限られています。しかし微量採血なら来院の手間もなく、低予算でも行うことが可能になります。J1だけでなく、J2、J3でも活用できるようになるのではないでしょうか。

「タンパク質」の見える化で変わる畜産業の未来

最初にaiwellのAIプロテオミクスの研究について聞いたときは、「タンパク質」を見える化するってどういうこと?」と驚きました。 そもそも、タンパク質を画像化できるとは思いもしませんでした。そんな技術があるのかとただ驚くばかりでしたが、血清からタンパク質を画像化するという技術はバイオテクノロジーの領域では一般的なのだと分かりました。すでに東京工業大学の林教授が取り組んでいる技術として、病気の前段階がわかる技術として特許も取られているので。今は競走馬における屈腱炎の予兆発見の研究を進めているとのことですが、馬の体調管理の技術は早く実用化したいですね。熊本は馬刺しが有名ですが、馬の体調管理は難しいので、微量採血により簡単にチェック・体調改善ができるなど、まずは家畜分野での実用化に期待しています。 これまで様々な事業に携わる中で、良いものは発信して、認知してもらい、広げるのが重要な作業だと改めて気づかされました。もっと早く知っていれば、現役の頃から始めていたんですけど(笑

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